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Flektogon MC F4/50mm, Carl Zeiss Jena

2019-01-01

Flektogon MC F4/50mm, Carl Zeiss Jena

仕様
レンズ構成 :4群7枚
焦点距離  :50mm
画角    :78° (6x6での画角)
フィルター径:86mm
最短撮影距離:0.5m

Flektogonは、東独Carl Zeiss Jenaが1950年頃に新規開発したレトロフォーカス型の広角レンズに付けられた名称です。
中判用には、この50mm(単層コートとマルチコートの2種類)と65mm(単層コートのみ)の2つがあります。
非球面レンズを使用しているという噂があるのですが、PENTACON公社や輸入代理店の資料には見当たらず、実際のところは不明です。映りがかなりシャープなので、非球面が使用されていても不思議ではないですが。

デジタル時代になってからは、このレンズを中判用として仕えるカメラがなくその性能を十分に発揮できないのですが、アダプタで35mmフルサイズ一眼レフに使用することで、その優秀な映りは楽しめます。
開放がF4と暗いので、50mm標準レンズとしては使いにくいのですが、F4の割にはピントの位置がくっきりとファインダーの中で浮き上がり、開放でのシャープさがよく判ります。
シャープだけどシャープ過ぎない端正な映りで、カラーバランスも綺麗にでてくれますし、ポートレート用としてある程度絞りながらも女性の肌を綺麗に柔らかく表現したいときにはピッタリかと思います。

作例画像

Flektogon F2.8/65mm, ausJENA

2019-01-01

Flektogon F2.8/65mm, ausJENA

仕様
レンズ構成 :5群6枚
焦点距離  :65mm
画角    :-
フィルター径:86mm
最短撮影距離:0.7m

PENTACON-six用レンズのラインアップの中で、唯一マルチコード化されずに生産中止になったレンズです。
私の所有する固体は、"Carl Zeiss Jena"銘ではなく"ausJENA"銘になっています。
これは当時、西独Carl Zeissと商標権で揉めてCarl Zeiss名義を仕えなかったため、ドイツ語で「イエナから(来た)」という意味の"ausJENA"という銘を使っていたためです。

単層コートのため、かなりコントラストが低めで黒が浮きやすいです。
また球面収差も結構多いようで、MC化されなかったのは、その辺りの収差性能が他と比べて不十分だったせいかもしれません。
アダプタ経由で35mm版として使用する場合は、広角ではなく標準〜中望遠になりますが、開放でのコントラストが低いため、ピント合わせは苦労します。
古いレンズでのレトロでソフトフォーカス的な映りを好む方には向いているでしょう。

作例画像

Biometar MC F2.8/80mm, Carl Zeiss Jena

2019-01-01

Biometar MC F2.8/80mm, Carl Zeiss Jena

仕様
レンズ構成 :5群6枚
焦点距離  :80mm
画角    :41° (6x6での画角)
フィルター径:58mm
最短撮影距離:0.65m

Biometarは、東独Carl Zeiss Jenaが中判カメラPENTACON six用として、1950年頃に新規開発した80mmと120mmのレンズに付けられた名称です。戦前のCarl ZeissにBiotarという銘のレンズがありますが、それとは別物です。
Biometarの80mmにはコーティングの違うのが3種類あります。
最初に作られた単層コート(鏡胴が更に2種類に分かれてます)、マルチコート、東西独逸統一後にPENTACON公社の一部がSchneidarに買収された後のマルチコートです。
当然時代が新しい程、コーティングの質がよくなっており、特にSchneidar傘下になってからのものは、鏡胴の製造精度も高く、非常に素晴らしい映りをします。

このSchneidar傘下になってからのものは、EXAKTA66用に鏡胴を灰色に青い線が入った、Schneidarレンズと同じデザインの鏡胴になっています。
他のCarl Zeiss Jenaレンズも、Schneidarの鏡胴で再設計して発売してくれればよかったのですが、残念ながら80mmの1本だけしか権利を譲与して貰えなかったみたいです。
このEXAKTA66用のBiometar 80mmは、同じものがSchneidar Xenotar名義とEXAKTA名義でも出ており、同じレンズで名称違いが3種類あります。
XenotarはBiometarの名称違いの"Xenotar E"と、元々EXAKTA66用にSchneidarが設計製造し供給していた"Xenotar MF"とありますが、この2つは全く別物(レンズ構成も映りも全然違う)ですので、注意してください。

マルチコーティングになった頃のPENTACON/Carl Zeiss Jenaの製造精度は、正直褒められたものではなく、絞り機構が壊れやすい欠点があります。
その点、Schneidar傘下になってからのBiometarは、その辺りが改善され、普通に使えるレンズとなっています。
レンズの組み立て精度もよくなっており、ピント面が綺麗に出ています。
コーティングも素晴らしく、逆光に強く、カラーバランスもちゃんとしています。
不思議なのは、Schneidarの色ではなくちゃんとCarl Zeissの色になっていることですが、お陰で女性ポートレートを撮影するのに最適のカラーバランスになっています。

中判用ですが、35mmフルサイズ用として使っても、しっかりとした階調再現性を示してくれています。
解像力はそれ程高くないですが、低周波数領域での快調が素晴らしいので、シャープ感はそれなりにしっかりとしています。
基本的に設計が古いため、ボケはちょっとうるさい感じになる場合があります。

作例画像

Xenotar MF F2.8/80mm, Schneider KRUZNACH

2019-01-01

Xenotar MF F2.8/80mm, Schneider KRUZNACH

仕様
レンズ構成 :6群7枚
焦点距離  :80mm
画角    :52° (6x6での画角)
フィルター径:67mm
最短撮影距離:0.6m

EXAKTA66用のレンズです。同じ設計のレンズが、Rollei SL-66用でも発売されていたようです。
Biometar F2.8/80mmの項でも書きましたが、同じXenotar銘でも、この"Xenotar MF"は純粋にSchneiderの設計/製造で、値段と映りが全然違います。(MFの方は中判標準レンズとしても非常に高額)

Schneiderのレンズは欧米では人気があるのですが、日本では全くと言っていいくらいに人気がありません。
光学性能的にも製造品質的にも、日本で神話的人気のCarl ZeissやLeicaには引けを取らないのですが、Schneiderのレンズは映りがあまりにも素直過ぎて面白みがないということで人気がありません。
私も中判レンズとして銀塩で撮影していた頃は、Carl Zeiss JenaのBiometarの劇的に幻想的な映りに魅了され、本レンズの味気ない蒸留水を飲むような感じにつまらなさを感じていました。
写りそのものは非常に高性能で、物理的な光学特性を測定したら、まず間違いなくJenaレンズを遙かに凌駕し、Hassel用のCarl Zeissレンズも超えると思います。

が、デジタル時代になり、どのレンズも収差が非常によく補正されて似たような写りの時代になった今、Schneiderの高性能振りが理解される時代になったのではないかと思います。
本レンズの設計は1970年代にされたはずなのですが、作例を見れば判る通り、現代の最新レンズにも引けを取らないシャープさを誇ります。
F2.8と暗めにも関わらず、ファンダーを覗いていてピントが合った部分がくっきりと浮かび上がってくるくらいにシャープです。
またボケが非常に美しく、古い独逸レンズとは思えないスムーズなボケです。

正に時代の先を行き過ぎていたレンズと言えるでしょう。

作例画像

Biometar MC F2.8/120mm, Carl Zeiss Jena

2019-01-01

Biometar MC F2.8/120mm, Carl Zeiss Jena

仕様
レンズ構成 :4群5枚
焦点距離  :120mm
画角    :30° (6x6での画角)
フィルター径:67mm
最短撮影距離:1.3m

Biometarは、東独Carl Zeiss Jenaが中判カメラPENTACON six用として、1950年頃に新規開発した80mmと120mmのレンズに付けられた名称です。戦前のCarl ZeissにBiotarという銘のレンズがありますが、それとは別物です。
Biometarの120mmにはコーティングの違いで2種類あります。
最初に作られた単層コート(鏡胴が更に2種類に分かれてます)、マルチコートです。
鏡胴の造りはまあまあなのですが、絞りの機構が非常にトリッキーな造りで壊れやすく、私が所有している2本のMCタイプは絞りが開放のままで絞れなくなっています。内部の非常に細いバネが外れただけなんですが。

中判用ですが、35mmフルサイズ用として使っても、しっかりとした階調再現性を示してくれています。
80mmのBiometar同様に、解像力はそれ程高くないですが、低周波数領域での快調が素晴らしいので、シャープ感はそれなりにしっかりとしています。
基本的に設計が古いため、ボケはちょっとうるさい感じになる場合があります。
焦点距離的にもポートレートにお薦めなレンズです。

作例画像

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